お役立ち経営情報 2012年4月

Section4 銀行融資の種類と特徴

慢性不況を乗り越えるための 中小企業の資金調達の実務

4-1 銀行融資の4つの方法

銀行融資の種類には以下の4種類があります。それぞれ良い点、悪い点があり、シチュエーションに応じて、上手に使い分けることが融資のポイントとなります。

  • 証書貸付
  • 手形貸付
  • 手形割引
  • 当座借越
証書貸付

証書貸付は1年超の長期の返済期間で融資を受ける時に使われます。手順としては「金銭消費貸付契約書」に、融資金額や金利、期間、返済方法などを記入し、企業の署名判・実印を捺印します。さらに、連帯保証人の署名捺印をした上で、契約書を銀行に差し入れ、融資となります。長期運転資金や設備資金等を目的に調達されているようです。

手形貸付

手形貸付は借入用の手形を銀行に差し入れ、融資を受ける手法です。手形の受取人は銀行になり、借入用手形には最初から受取人である銀行名が印刷されています。主に運転資金など1年以内の返済期限の融資を受ける際に利用されます。

手形割引

融資の取り決めは、借入用の手形を差し入れるにあたって事前に差し入れる「銀行取引約定書」という契約書に記載されます。借入用の手形に会社の署名判と実印を捺印すれば、すぐに融資を受けられる方法で、長期の証書貸付のように、融資を受けるたびに、連帯保証人の署名・捺印と印鑑証明を求められることはありません。

当座借越

当座借越とは、あらかじめ銀行と契約をしておけば、契約をした額を上限枠(借越限度額)として、当座預金残高が不足する場合であっても、自動的に融資が実行され、手形や小切手の決済を行うことができることをいいます。

4-2 銀行が重視する融資の原則

銀行は融資を行うにあたり、以下の5点に重点を置いています。資金調達の際、頭に入れておくだけで、どうしたら融資審査がおりやすくなるのか、自ずとみえてくるはずです。

  • 安全性の原則
  • 収益性の原則
  • 公共性の原則
  • 成長性の原則
  • 流動性の原則
安全性の原則

最も優先されるのが安全性の原則です。銀行にとって安全性とは、融資した資金が確実に回収されることを意味します。銀行にとって融資する資金は預金者から預かったもので、銀行が所有しているものではありません。だからこそ、慎重に融資審査を行うのです。

収益性の原則

収益性の原則は、銀行は高い公共性を持つ一方で、利益を追求する営利企業という側面を持つことと関係しています。利益を上げなければ、従業員の給料、税金、株主への配当などを支払えません。銀行が融資において収益性を高めるには3つの方法があります。

  • 融資金額を大きくする
  • 融資利率を高くする
  • 貸し倒れの高い融資は避ける
公共性の原則

公共性の原則は銀行の持つ高い公共性と直結しています。預金者から預かった資金で融資を行っているため、反社会的な団体に融資することは大きな問題です。また、銀行の融資は経済全般に大きな影響を与えます。こういった観点から、公共性の原則は金融機関として最低限、備えておくべきモラルといってよいでしょう。

成長性の原則

成長性の原則は、融資先の成長は銀行の利益上昇に比例することを意味します。これは企業の利益の一部が利息となり、銀行に還元されることを考えれば自明でしょう。赤字補てんのための融資などの審査が厳しいのはこの原則のためです。

流動性の原則

流動性の原則は融資の返済期間と関係があります。銀行は返済期間が長い融資より、短期の融資を繰り返した方が貸し倒れの確率が低くなります。10年間の返済であれば、その間、倒産などのリスクを負わなければならないわけです。取引実績のない企業に融資を行う際、銀行はできるだけ返済期間を短くするのは、この原則が働いているからです。

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4-3 融資審査で重きを置かれることは

銀行の融資審査において重要視されるのは以下の5点です。

  • いくら必要か
  • いつ必要か
  • どのようなことに使うのか
  • どのように返済するのか
  • 返済できなかった場合の備えはどうするのか
いくら必要か

希望借入金額のことを意味します。運転資金なら資金繰り表などにより、設備資金なら設備の見積書などにより、希望借入額は算出することが可能です。重要なのは、融資額は銀行がいくら融資できるかではなく、企業がいくら必要かによって決まってくることです。資金調達の際には、これらの資料をもとに銀行へ明確な説明を行うことが肝要です。

いつ必要か

希望借入時期を指します。融資日時が一日ずれるだけで、手形決済ができなくなるなどのトラブルが発生しますので、資金繰り表等の資料で明確にしておく必要があります。

どのようなことに使うのか

資金の使途は申込時に必ず聞かれることです。「信頼されて融資を受けたのだから、何に使うかは関係ない」と考えるのは、企業側の論理です。銀行は企業を信頼すると同時に、その使い道を審査した上で融資を行っています。そのため、報告した使途と実際が違うことが判明すると、信頼関係はたちどころに失われてしまうため、注意してください。

どのように返済するのか

銀行は返済手段に着目した上で、融資額を決定する傾向にあるようです。例えば、売上金回収までのキャッシュ不足を補うため、つなぎ資金を調達している企業であれば、取引先との契約書などを提示することによって、いつどのように返済されるかを知らせることができます。従って、事業計画書や資金繰り予測を提示し、どのように返すかを明確にすることで、納得のいく融資額を引き出すことが可能になります。

返済できなかった場合の備えはどうするのか

融資先企業の業績悪化などによって、回収予定のキャッシュが確保できないことはよくあります。このような場合における銀行にとって備えとは、担保や保証人を意味します。ただし、不動産などの担保があれば、業績があまり芳しくなくても、銀行から融資が受けられるのはこの理屈の裏返しといってよいかもしれません。

4-4 銀行融資にとって重要な格付け

格付けとは企業の財務内容、融資の返済状況等により、企業の状態を銀行によってランク付けしたものです。「自己査定」、次いで「信用格付け」という順番で行われます。

まず自己査定ですが、以下の5段階によって企業を区分します。

  • 正常先 > 要注意先 > 破たん懸念先 > 実質破たん先 > 破たん先

正常先が一番良く、破たん先に近付くほど、企業の経営状態が悪いことを示します。この区分は「債務者区分」といわれ、融資を受けている企業はいずれかに必ず当てはめられます。破たん懸念先以下になると、融資が非常に受けづらくなるので注意が必要です。
一方の信用格付けは、自己査定における債務者区分と連動しており、正常先及び要注意先の格付けをより細分化したものです。定量要因と定性要因の2つによって点数化されるのが特徴です。定性要因については、技術力、販売力など、業界における優位性が主な判断基準ですが、定性要因は担当銀行員の主観に基づく場合が多く、確かな基準はありません。そのため、アピールできることは何であろうと積極的に活用して損はないはずです。

4-5 アイ・パートナーズ グループの銀行融資支援サービス

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次回は Section5 助成金制度を活用する をお伝えします
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