お役立ち経営情報 2012年11月

Section1 損益分岐点分析で自社の問題・課題を浮き彫りにする

損益分岐点分析の活用で収益体質の改善を図る -僅かな売上の差が大きな利益の差に!-

1-1 損益分岐点の理解と活用で幹部社員の意識と行動が変わる

厳しい経営環境が続く中、企業は必死の努力で利益を捻出しようとしています。社員も、売上を上げることやコストを下げることに真剣に取り組んでいます。
しかし、残念なことに値引きに対する意識は非常に希薄で、「1%の値引きをしても、1%利益が減るだけ」という程度にしか認識されておらず、担当者に値引きの権限が委ねられている企業が多くみられます。

損益分岐点の理解と活用

管理会計の知識が少しでもあれば、「値引きした金額そのものが自社の利益の減少額である。」ということを理解することができます。
経営者からよく「うちの社員は商売が下手だ!」「うちの社員は利益に対する意識が低い!」という言葉を聞かされます。しかし、こうなってしまうのは必然なのです。収益の構造やいくらが値引きの限界なのか、いいかえれば損益がゼロとなる損益分岐点も知らないからです。
特に、幹部社員、管理職にはこの損益分岐点の考え方が必要不可欠の経営知識となります。この知識を身につけると、「個別商品の値引きに対する意識」「年度の部門目標の組み立て」「部下に対する指導」が大きく変わります。
たかが損益分岐点と思われるかもしれませんが、これからご紹介する活用法から、その重要性がご理解いただけると思います。

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1-2 損益分岐点(BEP)分析の基本手法を理解する

(1)損益分岐点とは

損益分岐点とは、「売上高と費用の額が一致する点(売上高)であり、利益がゼロ(利益も損失も発生しない)になるポイント」のことをいいます。
これは管理会計用語であり、英語ではBreak Even Pointといい、省略してBEPなどと表現されることもあります。直訳すれば「勝敗の分かれ目」といった意味となります。
損益分岐点とは

(2)損益分岐点分析の前提となる固定費、変動費の考え方

企業活動を行う上で不可欠な費用は、固定費と変動費に分けることができます。決算書では、費用を固定費・変動費に分ける必要はありませんが、収益性を見極め、利益をコントロールするための「損益分岐点分析」では、全ての費用を「固定費」と「変動費」に分解する必要があります。
利益をコントロールするには、損益分岐点を算出し、「利益を得るためどれだけの売上高が必要であるか」をシミュレーションする必要があります。損益分岐点計算を用いると、売上高の増減により利益がどう変わるか、同じ売上高で利益率を上げるにはどの程度コストを抑えればよいか、ということも確認できるのです。

  • 固定費

固定費とは、売上に関わらず一定額かかる費用の事です。次の様なものが、固定費に分類されます。

■固定費に分類される費用

固定費に分類される費用

  • 変動費

変動費とは、事業活動に必要な原材料などの原価に相当するもので、売上の増減によって変わる費用のことです。次のようなものが変動費に分類されます。

■変動費に分類される費用

変動費に分類される費用

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1-3 分母は戦略的課題、分子は経営管理的課題

(1)損益分岐点売上高計算式の解説

損益分岐点売上高の計算式は、分母に限界利益率、分子に固定費が乗ります。
損益分岐点とは その関係を分かりやすく図解したものが、下記の損益分岐点図表となります。
損益分岐点売上高計算式の解説 売上高は、ゼロからスタートして増えていきます。
固定費は、売上に関係なく固定的にかかる費用ですので、一定金額で横に伸びる線になります。
変動費は、固定費に上乗せされる形で、売上に連動して加算される費用になります。
「固定費+変動費」である総費用線と売上高線の交点が、損益分岐点売上高ということになります。

(2)分母は戦略的課題

限界利益率を決定する要因には、次のような事項があります。

  • 商品の売値をどうするか
  • 値引きの最大率を何%(何円)にするか
  • 値引きの決裁権を誰に持たせるか
  • 仕入れ先をどの会社にするか
  • 仕入れ単価をいくらで取引するか

これらの事項は、極めて経営判断的な事項であり、経営トップや幹部クラスによって決定されるべき重大な戦略課題となります。 分母の責任は経営層にあるといえます。

(3)分子は経営管理的課題

分子の固定費についても、人件費や教育費、設備投資に関する減価償却費のような、戦略的事項も含まれます。
しかし、多くの部分は現場レベル、管理職レベルでも削減可能な費用が多分に含まれています。例えば、水道光熱費や事務用品費、図書費などです。したがって、分子は全社で取り組むことができる経営管理的課題ということになります。

(4)損益分岐点比率と経営安全余裕率

損益分岐点売上高分析に関連して、損益分岐点比率と経営安全余裕率という指標があります。次の式から求めることができます。 損益分岐点比率と経営安全余裕率

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次回は 年度経営目標は損益分岐点から逆算方式で設定する をお伝えします
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