お役立ち経営情報 2012年12月

Section2 年度経営目標は損益分岐点から逆算方式で設定する

損益分岐点分析の活用で収益体質の改善を図る -僅かな売上の差が大きな利益の差に!-

2-1 従来型積み上げ方式の経営目標では利益は出せない

経営計画の利益目標の多くは、各部門から提出された売上計画にもとづいて、売上から原価、経費を差し引いて計算し、設定されています。
これは、いわゆる積み上げ方式の経営目標です。
各部から提出された積み上げ方式の計画では、利益が出ない計画になってしまうため、根拠なく粗利益率を上げたり、経費を下げてみたりと、実現可能性の低い経営目標になってしまいます。これでは、計画を策定し、目標を設定した時点で、未達成がほぼ確定してしまいます。

2-2 「出せる利益」ではなく「出さなくてはならない利益」の算出法

(1)年度経営計画策定の正しいステップ

年度経営計画策定の正しいステップ

年度利益目標を設定するときには、売上、変動費、固定費の増減をどのように考えればよいかを確認して、来期の計画イメージをつくります。その後、利益計画を策定しますが、ポイントは損益計算書の下から、つまり目標利益の設定から始めることです。

(2)利益に対する基本的考え方

利益目標における数値は、十分な分析及び検討の結果、設定された根拠のあるものでなければなりません。単なる希望数値や、恣意的に設定されたものであっては何の意味も持たないのです。そして、その数値は具体的な活動計画に裏付けられ、実行可能な数値でなければなりません。「はじめに利益ありき」という考え方が必要です。発展している企業の経営者は、いくらの利益をあげるか、どのくらいの利益があげられる企業にしたいのか、という明確な目標や計画を持っています。
売上の増加が難しくなっている今日、予想される収益の中で必要利益を確保し、その中でコストを抑えるという下記の利益公式を頭に入れて経営に当たることが必要です。

利益に対する基本的考え方

(3)単年度目標利益の設定方法

●前年実績伸び率

最も簡単な設定方法で、前年実績に対していくら、何%かをみます。

●1人あたり目標利益

1人あたりの生産効率(労働生産性)から全体利益を算出します。

●ライバル企業との比較

競合する同業他社又は業界平均の利益と比較して、自社の利益を決定する方法です。

●売上高利益率

売上高に対して、どれくらいの利益率を確保できるかという比率により決定する方法です。

●借入金返済必要利益

借入金の返済に必要とされる利益を計算します。借入金の返済原資を確保することは、資金繰り上大きな課題であるため、重視されます。
必要経常利益 =(借入金返済額 - 減価償却費)÷(1-実効税率)

■必要利益の計算例

必要利益の計算例
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2-3 必要売上高の算出法

必要利益が設定されたら、その利益を獲得するために必要な売上高がいくら必要になるかということを、簡単に算出することができます。
これは、先に触れた損益分岐点公式を活用することで可能になります。
損益分岐点公式の分子に、必要利益を加算して計算することで、来期必要となる売上高をおおよそ把握できます。
必要売上高の算出法

2-4 固定費、変動費、付加価値率、売上高でローリングする

必要利益を算出して、大まかに必要売上高を算出したら、固定費と変動費率の検証、策定を行います。

(1)固定費計画の策定は「ゼロベース」「実額」で考える

固定費計画策定のポイントには、ゼロベースで検討すること、実額で考えるという2点があります。
ゼロベースというのは、過去に実績があったから、昨年も使った経費だからという理由で、昨年と同額計上してはいけないということです。「この経費は本当に必要だろうか?」、「この経費が何に役立っているのか?」というように、費用対効果の観点ですべて見直すということです。
次に、実額で考えるということは、固定費は絶対にパーセントで計算してはいけないということです。
よく、経費削減を図るために、「水道光熱費は節電努力で1%削減」というような決め方をする企業があります。
しかし、これでは根拠が全くありません。
損益計算書の科目と金額だけを見ていても、ほとんど意味がありません。
総勘定元帳から、各経費の詳細を抜き出し、それぞれの経費の削減可能性を検討し、必要に応じて、見積書の取り直し、価格交渉などを行うことが必要です。
これによって、本当の固定費削減が可能になります。

(2)戦略固定費は前向きに

次期の固定費を計画する際は、将来のための戦略的固定費を予算化することを忘れてはなりません。ここでいう戦略的固定費には以下のようなものがあげられます。

■開発費の例
開発費の例

(3)変動費計画は「率」と「単価」で考える

変動費は、固定費と違い、率と単価で考えることがポイントになります。
商品1個あたりの単価、1製品あたりの原価率などで考えます。

■変動費計画
変動費計画

(4)ローリングで目標を確定させる

利益目標、固定費計画、変動費計画がまとまったら、それぞれの項目を再度必要売上算出の計算式に当てはめてみます。実現可能な売上高としてイメージできるかどうかを検証し、不可能であれば、再度固定費と変動費を見直します。
このようなサイクルを何度も繰り返し、最も実現性の高い目標を設定します。複数の部門があれば、これらの数値計画をもとに部門計画を立案します。場合によっては、先に積み上げ方式で各部から計画の提出を受けて、企画部門で合算集計し、修正指示を出すという手法もあります。
いずれにしても、何度も検証、検討を重ねて目標を決定することが重要です。
その検証、検討のための道具として損益分岐点分析の手法が有効なのです。

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2-5 アイ・パートナーズ グループのワンストップサービス

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次回は 目標必達のための業績管理の基本サイクルを回す をお伝えします
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