お役立ち経営情報 2013年5月

Section1 企業の人材育成の現状とOJTの必要性

新卒者の早期戦力化を目指す 効果的なOJTの進め方

1-1 企業における人材の空洞化とOJTの必要性

「失われた15年」という言葉をよく耳にしますが、バブル崩壊以降、多くの企業が極端な成果主義にシフトし長期的な観点で人を育てることを怠り、さらには採用数を控えたため、そもそも人を育てる機会が減少しました。その結果、多くの企業では近年、若年層の空洞化が目立つようになり、長期的な人事戦略として、少人数でも採用を継続していこうという動きが見えてきました。
しかしながら、職場の協力態勢は必ずしも十分ではありません。
これからOJT担当者に任命される20代後半から30代前半の若手・中堅社員の中には、自分たちの後輩社員がおらず、人を育てた経験のほとんどない人も多く存在します。初めての人材育成を手探りで行うことは難しく、OJT担当者に任命されるのは、多くが現場の中核を担っている業務負荷の高い人たちです。そんな彼らが手間のかかる割に成果が見えづらい人材育成に仕事の優先順位を上げて取り組むには、相当の覚悟と自分自身による意味づけが必要となるでしょう。
また、企業側としては「できる限り早く戦力化してほしい」ということが今の新卒者への期待です。以前は、「5年程度で一人前」が、今では「3年で一人前」早い企業であれば「1年で一人前」になるという期待のもとに、仕事をこなさなくてはならない状況にある新卒者が多く存在します。そのため、本人の資質や努力だけでは成果を上げられないという事態が起こっています。
そこで、今回は新卒者の人材育成の柱であるOJT(On the Job Training:職場内教育)を改めて見直し、早期戦力化するために本レポートとしてまとめました。 人材育成の体系

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1-2 企業の人材育成の現状

(1)人材開発はOJTが中心

学校法人産業能率大学が2010年に実施した「経済危機下の人材開発に関する実態調査」では、人材開発の方針について、OJT中心か、Off-JT中心かを尋ねた結果、OJT中心に「近い」「やや近い」はあわせて87.4%でした。

■人材開発の方法

人材開発の方法

(2)計画的OJTがしっかりと機能しているのは12.6%

計画的OJTの機能状況について尋ねた結果、肯定的な回答(「機能している」「どちらかといえば機能している」)が6割強を占めたものの、「機能している」と答えた企業は12.6%に留まっています。「機能している」企業以外は、程度の違いはあっても何らかの課題を抱えている企業が多いとことがわかります。

■計画的OJTの機能状況

計画的OJTの機能状況 機能していない理由では、「教える側に時間的な余裕がないから」(73.5%)が最も多く、「仕組みが整備されていないから」(45.6%)や、「教える側の能力が不足しているから」(42.6%)が上位を占めています。

■機能していない理由(複数回答)

■機能していない理由(複数回答) 出典:「経済危機下の人材開発に関する実態調査」(学)産業能率大学2010年

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1-3 OJTとは何か?

OJTを知っている人でも、実際にそれをきちんと実行できているかとなると、不安に感じる人が多いようです。また、上司と部下の間でOJTへの認識が大きく異なることもあります。OJTは、新卒者を迎え入れた期間中の教育だけのことと誤解している人も少なくありません。また、特別な機会、場を設けて行うのがOJTだと決め込んでいる人もいます。
OJTは一般的には、下記のように定義づけされます。

■OJTの定義

OJT(On the Job Training:職場内教育)

上司(先輩)が部下(後輩)に、日常業務のなかで、仕事を通して、意図的・計画的に働きかけていく指導・教育。

1-4 OJTを行うことのメリット

新卒者を育成する場合のOJT担当者は、比較的年齢の近い20代後半から30代前半の若手・中堅社員が担うのが一般的です。
仕事をしながらマネジメントしなければならない立場となり、余計な仕事になりかねない新卒者のOJTは百害あって一利なしと考えるOJT担当者が出てくることが危惧されます。いくら優秀な人材でも伸びるための手順が悪ければ、中途半端な逸材で終わってしまいます。
教育は家づくりに似ています。目に見えない部分で手抜きの工事をしても立派な家に仕上がります。しかし、その手抜きをした部分は長い年月の経過とともに露見してくるものです。OJTは、OJT担当者、部下、会社にとっても多くのメリットをもたらします。

■OJTを行うことのメリット

OJTを行うことのメリット

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1-5 OJTの基本はPDCA

■OJTのPDCAサイクル

OJTを行う際もビジネスの基本である「PDCA」サイクルに基づいて実施します。
PDCAとは、「Plan=計画」「Do=実行」「Check=評価」「Action=改善」のことで、この繰り返しによって継続的に業務の質を上げていく仕事のマネジメントサイクルです。
OJTは、計画を立てることから始まります(Plan)。その計画に基づいて、仕事を通して、経験をさせ、様々な能力を身につけさせていきます(Do)。計画どおりに成長しているかどうか定期的に確認し、身についた能力と、身についていない能力を明確にしていきます(Check)。
計画通りに身につかなかった能力を、身につける処置をとります(Action)。そして、次のステップで必要な能力をどのように身につけさせていくのか、これまでの計画を見直して次の計画を立てるのです(Planに戻る)。

■自社のOJTチェックリスト

自社のOJTチェックリスト

1-6 アイ・パートナーズ グループのワンストップサービス

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次回は 「自立」を目標に中期育成計画を立てる をお伝えします
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