お役立ち経営情報 2013年6月

Section2 「自立」を目標に中期育成計画を立てる

新卒者の早期戦力化を目指す 効果的なOJTの進め方

2-1 新卒者の目標はまずは「自立」すること

「OJTのゴールはどこにすべきか?」と悩むことがあるでしょう。新卒者の場合は、まずは「自立」が最初の目標になるでしょう。「自立」という言葉は様々に解釈でき、人によって意見が分かれます。ここでいう「自立」というのは、現在の業務範囲においてOJT担当者の指示のもと、新卒者が自身の判断で業務を支障なく遂行できる状態です。
新卒者が自分の力で仕事を進められるようなるためには、次のようなことが出来ることが最低条件となるでしょう。

■新卒者に習得してほしい基本的な能力
  • ビジネスマナーとビジネスマインドの習得
  • コミュニケーションの基本の習得
  • 仕事の進め方、専門知識の習得
  • 協調性、責任感等の基本的なヒューマンスキル
  • 自社について理解すること(強み・弱み、歴史、ルール、競合等)

これだけ見ると、新卒者にとってはかなり高いハードルです。数カ月や1年で一人前しようと思っても無理なのです。
ここまで成長させるには、どのような業務を通じて必要な能力を身につけていくのかを、少なくとも2年から3年という中期的な視点で計画する必要があります。そして、ひとつの目標に到達したら、その次を目指します。
例えば、業務範囲を広げ、業務遂行能力を高める、現在の職場の問題解決を図りながら、課題解決力を高めるのもよいでしょう。部分的にでも新卒者のOJT担当者としての指導・育成力をつけていくというのでもよいでしょう。
一段上のステップに目標を置くときが、その人にとってのステップアップのときであり、実際には決してゴールではないのです。OJTがPDCAであるというのは、そういう意味です。

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2-2 2~3年を目標とするOJT計画書作成の進め方

OJT計画書の書式例

OJT計画書の一般的なシートの例です。OJT計画書をつくり、OJT担当者、OJTの対象者である新卒者との間で共通認識を持たせます。

■OJT計画書の書式例

OJT計画書は、会社の実情に合わせてつくりますが、次の3つのポイントを押さえていることが必須です。

*左の画像をクリックかコチラからOJT計画書のPDFをダウンロード出来ます。


■OJT計画書に盛り込む3つの要素
  • 「5W1H」が網羅されていること
  • OJT担当者、OJT対象者が共通認識を持てること
  • PDCAが回せるように、結果の振り返りと次のステップがわかること

この計画書をもとに「定期的な面談をし、進捗と成長を確認しあいながら進め、身についてきたら次の目標をまた立てていく」というOJTのPDCAを回していきます。OJT計画書は、関係者が目的を共有するためのツールです。ひと目で概要がわかるように、漏れなく簡潔につくりましょう。

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2-3 OJT計画書記載のポイント

(1)「何が、どの程度できればいいのか」の目安をつくる

新卒者にどのようになってもらいたいかを記載します。OJT実施期間終了後に、新卒者のどのような姿をイメージするかというのがポイントです。

■OJT目標設定のポイント
  • 何のために
  • どのような能力を
  • どんなレベルで身につけるか?

営業職で例えるなら、「新規顧客獲得のために、自分自身で提案し、上司のサポートなしで、クロージングまで出来るようになる」というような具合です。
新卒者の成長のためであることはもちろんですが、最終的には会社への貢献につながることを意識して、目標を立てていくことが大切です。
OJTは意図的、計画的、段階的、継続的に行うことが重要ですが、「段階的」についてもう少し具体的に解説します。
これから指導する新卒者にどのような能力が必要になるのか、それぞれの能力に対して、レベルを設定していきます。
上記のように、成長段階が把握できるように能力を細分化していきます。
例えば、「交渉力」とか「折衝力」といった能力が必要ならば、次のように成長段階が把握できるように能力のレベルを細分化していきます。 最初は部内調整から経験させ、できるようになったら他部門への調整を任せてみる、それができたら、社外との調整を任せるなど、徐々に難易度をあげていきます。新卒者にとっても課題がわかりやすい仕組みをつくり、具体的な行勤レベルまで落とし込みます。

(2)「業務に必要な能力」の効率的な洗い出し方法
①基準がない場合は、OJT担当者が考える

自社に「能力要件書」や「職務要件書」と言われるような職種別・階層別の「業務に必要な能力」の基準があれば、「どのような能力を」「どのような場面で」「どのように発揮しなければならないのか」が明確にされているので、それをもとに計画を立てていけばよいのです。
それではそのような基準がない場合はどうすればよいのでしょうか。基準がない場合はOJT担当者が、新卒者に求める能力の洗い出しを行うことになります。

②仕事の棚卸しをしながら、少しずつ増やしていく

職場のあらゆる業務について、必要な能力を洗い出すのは非常に大変です。OJTを少しずつ進めていく過程で、徐々に増やしていくという考え方が必要です。まずは、自分たちの仕事の棚卸しを行い、出来る範囲で必要能力を洗い出します。次にその必要能力を基にとりあえずOJTを始めていきます。そうすることによって、OJTを行う過程で見落としていた必要能力が見えてきます。
OJT担当者の役割は、「能力要件書」や「職務要件書」をつくることではありませんから、それに時間をかけても仕方がありません。100%でなくてもよいですから、まずは大雑把に作り、OJTをしながら少しずつ書き加えていきます。

(3)能力習得のために取り組む業務

例えば、企画書作成能力を高めるには、ざっと「情報収集力(顧客・競合)」「情報分析力」「業界知識」「情報を論理的にまとめる力」「自社製品の知識」などより具体的な能力が必要です。
それらを一つひとつ身につけることが、企画書作成能力を高めることになります。そこで、これらをどこでどのように指導・育成していくかを決めます。OJTでは仕事を通じて指導することがメインになりますから、「いつ」、「どのような業務」を行い、「誰が」指導するかを決めておきます。
仕事の内容によっては現場で学ぶことや、取引先に行くこと、場合によっては、他社への出向などまで範囲が広がる場合もあります。

(4)評価

これは、PDCAでいうところの「Check」にあたります。OJT実施期間が終了したら、どこまで出来るようになったか、どのような能力を身につけたか、ここで振り返ります。目標の達成状況と今後の課題を、OJT担当者と新卒者がお互いに確認します。

(5)長期目標

OJTを通じて、様々な能力を身につけたら、新卒者の仕事の幅も可能性も広がってきているはずです。今までできなかったことにもチャレンジできるようになるでしょう。
そこで、新卒者自身が「将来どのようなことに取り組みたいか?」「どんな仕事をしてみたいか?」「どんな人物像になりたいか?」といったことを考え、長期的な視点での目標(希望)を新卒者と確認していきます。

2-4 アイ・パートナーズ グループのワンストップサービス

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次回は 日常業務を通じて短期的な育成状況をつかむ をお伝えします
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