お役立ち経営情報 2013年9月

Section2 人件費の管理ポイント

明日から着手し、確実に利益を出す ーコスト管理のポイントー

2-1 社員数は業務のボトムに合わせる

(1)社員数は適正か

人件費は、固定費の中で最大の経費です。したがって、常に適正な水準を保たなければ、売上高や付加価値が減少したときに、利益を確保することは困難になります。
人件費が適正かどうかは、社員一人あたりの付加価値や利益額で判断します。
例えば、社員一人あたりの利益額の目標を1,000千円と設定し、その目標を達成できていない場合、売上増加でカバーできれば良いのですが、即効性を考えると、社員を削減するしかありません。
業務のピークに社員数を合わせていると、業務のボトムに差し掛かった時に、手持ち時間が増えてしまい、非効率な組織となってしまいます。
そこで、業務のピークに合わせるのではなく、業務のボトムに人数を合わせることが重要となります。

(2)社員数を削減しても業務は十分回すことができる

業務のボトムに人数を合わせることで、社員は「そんなに人を減らしたら、業務が回らなくなる」と不安になりますが、実際に削減したA社の事例をみても、大きな問題はありませんでした。
A社の削減前の実態を見てみると、繁忙期には、5人は必要な業務量ですが、閑散期は3人いれば十分にこなせる業務でした。そこでA社では、繁忙期に合わせて5名の社員で行っていました。
閑散期は5人のうち1人は、閑散期も繁忙期と同じくらいの業務量があるため忙しそうでしたが、後の4人は、自分の業務が終わってしまうと、何もすることがなくなってしまい、1日の半分は手が遊んでいる状態でした。
そこで、A社では社員を2名削減して、閑散期に必要な社員数にしても業務が回るように、ある取り組みを行った結果、3名でも問題なく業務を回せるようになったのです。
そのポイントを次頁以降で解説します。

2-2 ギリギリの人数でも業務をうまく回すポイント

(1)業務のヤマを作らずに平準化する

業務に繁忙期と閑散期があるのは仕方がないことです。
しかし、業務の平準化を行うことで限られた人数でも与えられた業務をこなすことができるのです。
この業務の平準化には自分の仕事量を平準化することと、自分と他人の仕事量を平準化する二種類があります。

①自分の業務の平準化

自分の業務を平準化することで、 無理のないスケジュールを立てることが可能になります。
まずは、自分が抱えている仕事全体を把握します。 抱えている業務を一度全て洗い出し、重要度や期限、その仕事にかかる時間などを設定します。
設定した期限や重要度などに従って、 それぞれの仕事をいつ取り組むのかを割り振ります。
もちろん、突然急な業務が入ることもありますが、その様な場合にも、事前にスケジュールを組んであれば、後ろ倒しにすることが可能な業務を移すなどの対処をして対応することが可能になります。

②自分と他人との仕事量の平準化

時間に追われて仕事をしている人は、一人で仕事を抱え込んでしまっていることが多い傾向があります。
仕事全体を把握した時に他人に依頼できる仕事があった場合は依頼することが大切です。
仕事を依頼することで、同時に仕事を仕組み化することが可能になり、個人だけでなく社内全体の業務改善につながります。
一人ひとりが業務を抱え込み、偏在してしまっている場合、その社員が休むと業務が滞ってしまうような危険があります。
仕事を平準化することで、できる限り仕事の仕組み化・マニュアル化を図り、不測の事態にも備えることが可能になります。

(2)手が空いている社員は管理者も含めて支援に入る

前述の通り、全体の仕事量はコントロールすることはできなくても、その仕事を行う一人ひとりの業務量はコントロールすることは可能です。 つまり、業務量が多ければ、その分多くの人がその仕事をすればいいし、業務量が少なければ、少ない人数でやればいいということです。
そのために必要なのは、一人の人が多くの業務をこなせるようにしておくことです。いわゆる、「多能工化」や、「マルチジョブ化」を目指すということです。
そうすることで、忙しい部署に対しては他の部署から応援に行くことができ、一人あたりの業務量を分散することができるのです。
多能工化や、マルチジョブ化は、個人個人の仕事のスキルを上げることにもなるので、これを進めることは大事です。 本来、業務の複雑さや困難度合いに応じて、その業務を担当する社員を決めて行うべきであることは言うまでもありません。
単純定型業務を管理者のような賃金単価の高い社員が日常的に行っているようでは、本来果たすべき役割と業務レベルのバランスが取れずに、非効率になってしまいます。
しかし、繁忙期には、それは関係ありません。管理者といえども、業務が集中している部署には、単純定型業務であろうと、応援に入ることが重要なのです。

■マルチジョブ化の事例

ホテル業のH社では、「マルチタスク」を実践しています。 通常、旅館やホテルでは、分業制が当たり前の世界ですが、H社では、一人の従業員が複数の業務、すなわち、配膳、フロント業務、部屋の掃除、デスクワークなど4~5種類の業務を行っています。(以下は同社代表者のコメント)
この「マルチタスク」を実践すると、無駄なところに人を置かなくて良くなります。ホテルやリゾートでの仕事は、職種ごとに忙しさのピークの時間が大きく異なりますので、その時間に対応できる人で、効率よく多くの業務をこなせることができます。
また、「マルチタスク」によってかえってスタッフの拘束時間を減らすことができます。もともと旅館の仕事は拘束時間が長く、例えばキッチンは朝と夜に入って、拘束時間が14時間ぐらいありました。しかし、「マルチタスク」によって従業員がいろんなことができるようになることで、全員できっちりやればそれぞれが8時間で帰ることができるようになります。

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3-3 完全適法の社会保険料削減方法

(1)企業にとって重荷となる社会保険料

社会保険料は、健康保険料(40歳以上の人は介護保険料を加算)と厚生年金保険料の2つです。
社会保険料は、毎月、光熱費のように銀行の指定口座から自動的に引き落としされていますので、実際にいくら納めているのか、今迄あまり気にしたことは無いかも知れませんが、1年間に納付した社会保険料の総額を算出すると、驚くような金額となっています。
例えば、年収500万円の社員を30人雇用している会社の場合、1年間に納める社会保険料は、この30人分だけで約3,600万円になり、会社の負担額は労使折半負担のため、1,800万円となります。
また、厚生年金保険料率は平成29年迄毎年0.354%ずつアップしていくことが決まっています。このように労働保険料と比べて桁違いに高額な社会保険料ですが、ちょっとした工夫をするだけで、数十人規模の会社でも、年間で100万円単位の社会保険料を節約出来る場合があります。
以下に、その「社会保険料の節約方法」をご紹介します。

(2)毎月納付する社会保険料の節約方法

毎月納付する社会保険料は、原則として4~6月に支給された給与に基づき計算され、その後1年間拘束されます。よって、4~6月(給与を翌月に支給する場合は3~5月)に残業や休日出勤が多いと社会保険料においては不利になります。  また、基本給や諸手当などの固定給が変動し、なおかつ3ヶ月平均の給与額が2等級以上変動すると、月変(随時改定)該当となり、4ヶ月目から社会保険料が変更されます。
毎月納付する社会保険料を節約する為には、まず「7月1日の算定」と「月変」の仕組みを理解することが重要です。

①標準報酬月額の各等級に対する給与額の幅を理解する

例えば、給与が259,000円(健康保険19等級、厚生年金15等級)の場合と、260,000円(健康保険20等級、厚生年金16等級)の場合では、給与額自体はたった1,000円の差ですが、納付する社会保険料は1年間で約65,000円の格差が生じます。  また、260,000円の給与の社員と279,000円の給与の社員は、約2万円の給与格差が有りますが、1年間に納付する社会保険料は全く同額です。
よって、給与額を決定又は変更する場合は、標準報酬月額の各等級に対する給与額の幅を意識してその額を決定する必要があります。

②昇給は7月以降に実施

4~6月の給与で昇給を行なうと「算定」の対象になってしまいます。
7月に支給する給与で昇給等を行なえば、その昇給額が社会保険料に反映されるのが「1年遅れ」になります。

(3)その他の社会保険料節約方法
①正社員の中途採用は2ヶ月の有期雇用で

中途採用で正社員を雇入れて、社会保険の被保険者資格取得手続きをしたものの、その社員がすぐに会社を辞めてしまった、ということはよくある話です。なかには「試用期間中は社会保険には加入させない」と言う事業主の方がいますが、試用期間か否かという区別は、その会社内における社員の身分上の取扱いに過ぎず、試用期間中の社員を社会保険に加入させないことは法律違反となります。
よって、実際の就労を通じて技術・能力や適性・勤務態度などを評価し、正社員として採用するか否かを判断したい場合は、2ヶ月の雇用期間を定めた有期雇用契約を締結することが有効です。
2か月とする理由は、「2ヶ月以内の期間を定めて新たに雇用された者は社会保険適用除外」ということが、健康保険法第3条及び厚生年金保険法第12条で明確に定められているからです。

②賞与を支給する前に残業代の全額支払いを

「日々の超過勤務に対する残業代は全額支払っていないが、毎年賞与は出している」という会社は、今すぐ定期賞与の支払いを止めて(又は減額して)、その賃金原資を残業代として支払うのも節約方法としては有効です。
社員に賃金を支払う事業主側から見ると、賃金を“残業代”として支払っても“賞与”として支払っても、「名目が違うだけで同じ」と思われるかも知れませんが、社会保険事務所のみならず労働基準監督署など行政官庁の事業所調査では、この「名目」が非常に重要なのです。残業代は労働基準法で会社に支払いが義務付けられた賃金ですが、賞与はそうではありません。 また、賞与は社会保険料の徴収対象ですが、残業代などの変動給の増加は社会保険料の月変対象にはなりません。
もちろん、業務プロセスを見直し、残業そのものを減らす努力が必要であることは言うまでもありません。

2-4 アイ・パートナーズ グループのワンストップサービス

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