お役立ち経営情報 2014年1月

Section2 社会保険料適正化のポイント

合法的に社会保保険料を節約する ー社会保険料適正化の実務ー

2-1 社員にかかる社会保険料を適正化

(1)社員の入退社時期を考える

社会保険料の徴収期間は、「被保険者資格を喪失した日の属している月の前月まで」と法律で規定されています。そこで、入退社日を見直します。

例え

平成25年6月26日入社 → 平成25年9月30日退社を
平成25年7月1日入社 → 平成25年9月29日退社に
見直すと2ヶ月分の保険料節約となります

(2)4月から6月の3ヶ月の残業代を見直す

社会保険料は4月から6月の給料の平均を基に、その年の9月から決定される決まりとなっています。社会保険料の適正化を考える時に、4月から6月の残業代を抑えることが有効です。残業代を減らす方法として3つご紹介します。

  • 残業を申告制にする
  • タイムカードの打刻機を上司のそばに置く
  • 業務と各人のスキルを見直す
(3)給与改定を7月にする

社会保険料の適正化という観点から見ると前述した通り、社会保険料は4月から6月の給料の平均を基に計算されるため、昇給した場合9月からの社会保険料も負担増となります。改定月を4月から7月に変更するという方法があります。これにより、12ヶ月間の社会保険料の上昇を遅らせることが可能となります。

(4)賞与の支給方法を見直す

ここでは、社長や院長及び役員、管理職等の高額な賞与を貰う可能性のある方が対象となりますが、賞与の支払い方法を見直すことにより、社会保険料の削減につなげるという方法です。健康保険540万円、厚生年金1回150万円という上限額を利用します。

  • 賞与の支給は年1回とする
    支給を1回にして厚生年金の上限額を利用して、社会保険料の削減を行います。
  • 賞与を12等分して給与に割り振る
    厚生年金保険の等級の上限額(月額60万5千円)を利用します。月給が上限額に達している場合、これ以上保険料が上がることはないので、年間の賞与を月給に割り振り社会保険料の削減を行います。
(5)賞与の一部を退職金へ回して節約する

賞与と退職金の大きな違いは所得税と社会保険料に関する取扱いです。退職金の税金には、次の3つの優遇制度があります。

  • 退職金所得控除
  • 2分の1課税
  • 税金が退職金のみに課税(分離課税)

賞与に社会保険料は掛かりますが、退職金には掛かりません。それを利用して、賞与を減額、廃止して支払う予定の金額を退職金の原資として積み立てます。積み立てる方法は2つです。1つめは、社内に積み立てる、2つめは、社外積立として中小企業退職金共済機構等に預ける方法です。

(6)定年後の賃金を工夫して節約する

現在、法律で社員を65歳まで雇用することが義務化されています。圧倒的に多いのは、60歳を定年として、その後、労働契約を結び直し再雇用する方法です。60歳以降の社員の所得については次の3つとなります。

  • 会社からもらう賃金
  • 高年齢者雇用継続給付(雇用保険から支給)
  • 老齢厚生年金

この3つを組み合わせて手取りが一番多くなる方法を考えます。②と③は社会保険料が掛からないため、国の制度を上手く活用し賃金を設定すれば、会社の社会保険料負担を減らし、社員の月々の手取りを増やすことができます。

(7)被保険者に該当しない人の活用

健康保険及び厚生年金保険の適用事業所に勤務している社員であっても、次の①から⑤の要件に該当すれば被保険者となりません。健康保険及び厚生年金保険の被保険者になれない社員については以下の通りとなっています。また、⑥の派遣社員については、派遣元で社会保険に加入するため社会保険料は掛りません。

①日々雇い入れられる人
②2ヶ月以内の期間を定めて雇用される人
③季節的業務(4ヶ月以内)に雇用される人
④臨時的事業の事業所(6ヶ月以内)に雇用される人
⑤労働時間が正社員の4分の3未満の人
⑥派遣社員

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2-2 各種制度見直しで社会保険料を適正化

(1)賃金制度を構築・見直す

給与の決め方は、会社によって様々ですが、近年は中小企業でも事業主の自己裁量ではなく、評価制度や賃金制度を明確に定め、社員にきちんと説明して運用している会社も増えています。賃金制度の導入により、社員のモチベーションアップやその結果優秀な人材の定着、会社の業績アップにつながります。ただし、制度構築には時間がかかり容易ではありません、会社の核となる賃金制度の構築を考えるなら、専門家に依頼することも1つの方法です。

(2)請負契約を活用する

請負契約とは、アウトソーシングや外注等のことで「一定の成果に対して報酬を支払う契約」です。請負契約を締結するメリットは次のようになります。

  • 雇用契約と違い労働諸法令の適用を受けない
  • 労働保険、社会保険等の保険料の負担がない

ただし、請負契約をした業務については、指揮命令権はありません。また、外注に出すことにより社内で人材が育ちにくいというデメリットもあります。

(3)常勤役員を非常勤役員に変更する

非常勤役員に社会保険に加入義務はありません。常勤、非常勤の判断は次の3つです。

  • 役員として代表権を持っているかどうか
  • 役員会に出席しているかどうか
  • 報酬はどの程度か
(4)休職制度の内容を見直す

休職制度とは、会社の籍を置いたまま、一定期間働く義務を免除する恩恵的な制度ですが、決めておかなければならないルールは以下の通りとなっています。

  • 休職期間をどのくらいにするか
  • 休職期間中の賃金を有給にするか無給にするか
  • 退職金の計算の基礎となる勤続年数に入れるかどうか

休職期間中も社会保険料は発生するため、本人から社会保険料を徴収する必要があります。徴収するルールを明確にしなければ、立替えた分だけ負担増となってしまいます。

(5)政府の少子化対策を活用する

政府の少子化対策の一つで、育児休業期間中だけでなく、平成26年4月1日から産前産後休業期間中も労使双方保険料が免除されることになりました。
産前産後休業期間中も労使双方保険料が免除

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2-3 負担増す社会保障給付費 

(1)自社の業種の見直しを行う

労働保険(労災保険+雇用保険)は、年1回まとめて計算して申請します。労災保険料率については、製造業で考えると次のような労災保険料の見直しが考えられます。

①工場と本社(管理部門)を別の事業として登録する
②主たる事業を見直す

①について、管理部門は工場の現場に比べて災害の発生率が低いため料率が低くなっています。②については、主たる事業の割合は歳月を経て変化していることがあります。
同じような事業であっても事業の割合によって料率に違いがあります。

(2)労働保険に加入とならない人を活用する

次のような立場にいる人は労働保険には加入できません。ただし、④については労災保険には加入となります。

①65歳以上の労働者
②事業主・社長・会長
③事業主と同居の親族
④季節的労働者(4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者)

(3)出向社員を活用する

出向社員の労働保険料については、次のように決められています。

  • 労災保険料 → 指揮命令権のある出向先が負担する。
  • 雇用保険料 → 主たる賃金を支給する会社

出向社員を受け入れて労災保険料を負担することになっても、雇用保険料を出向元が負担すれば、十分に保険料の節約になります。また、派遣社員を雇用する場合は、派遣元が労災保険料、雇用保険料を負担することになるので労働保険料の削減につながります。

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次回は 適正化実務の留意点と事例紹介 をお伝えします
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