お役立ち経営情報 2014年2月

Section3 適正化実務の留意点と事例紹介

合法的に社会保保険料を節約する ー社会保険料適正化の実務ー

3-1 不利益変更には同意が必要

Section2で、社会保険料の適正化ということでご紹介しましたが、これらの方法を実行するためには注意しなければならないことがあります。

①ルールを変更するには社員の同意が必要、役員でも同じ
②社員に制度の注意事項を説明する
③社員にメリット、デメリットを説明する、重要なのは本人が納得すること

①についは、ルールの変更が有利な条件であれば問題ありませんが、不利益変更を行う場合には、必ず役員・社員の同意が必要となります。ただ就業規則を見直すだけというわけにはいきません。このことは、労働契約法という法律の第9条に規定されています。

②については、例えば6月29日で退職して、7月1日から他社で働く社員がいた場合、社会保険で退職日を月の途中に行うとその月は、被保険者ではなくなるため、6月は自分で国民年金に加入しなければ保険料納付済月数に影響します。この説明がなければ、後になってトラブルになる可能性があります。注意点をしっかり説明することが重要です。

③については、ルールの変更によって双方の目先の社会保険料負担が減ることになるが、将来の年金受給額が減額する可能性があるため、そのことを社員に説明することが重要であるということです。強引な制度改定は後になって必ず会社経営の弊害となります。

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3-2 手続きのアウトソーシングでリスク回避

社会保険制度では、次のような各種手続きが発生します。

①社員の入退社等に関する手続き(雇用保険、健康保険、厚生年金保険)
②社会保険料に関する手続き(年度更新、算定基礎等)
③社員が病気や怪我で入院、社員が出産をした場合の手続き(労災保険は除く)

これらの業務は、社員数が多ければ手続きの件数も増加します。場合によっては、人事労務担当者が一人で対応に四苦八苦しているケースも見受けられます。こんな時、業務を専門家である社会保険労務士にアウトソーシングすることも一つの方法です。
社会保険労務士に業務委託することにより、煩わしい手続業務に不備がなくなり、会社においても人や経費を生産性のある部門に配置、投資することができ、新しい戦略を考えることができます。

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3-3 社会保険料適正化事例

最後に実際の事例をご紹介します

(1)社員の入退社時期を変更した事例

入退社日を考えることでどれだけの節約となるか、例を挙げて説明します。

■見直し例

社員の入退社時期を変更した事例 つまり会社として採用する場合には、月初に入社してもらい、退職するならば月末の前日が有利であることになります。ただし、社員に説明しなくてはならないのが、退職日を9月29日にした場合、社会保険料が8月分までかかることになり、10月1日から別会社で勤務する場合、10月から被保険者となるため、9月分は自分で国民年金に加入することになります。後で、トラブルとならないためにもこの期間の説明は必要となります。

(2)給与改定を7月に変更した事例

仮に、月給が22万5千円の社員の給与を5,000円昇給させると等級が1等級アップするため、月の社会保険料(健康保険料+厚生年金保険料)が約5,000円アップします。昇給月が4月の会社が7月に変更することにより、4月から6月の保険料算定時期に影響しないため社会保険料の上昇を1年間据え置くことができます。これを利用して、昇給月を7月に変更した会社があります。これには、次のようなメリット、デメリットがあります。

●メリット
 社会保険料の負担額を減らすことができる。
●デメリット
 ①昇給した場合、4月分から6月分までの昇給分をもらえなくなる。
 ②将来的に受給できる年金の額が減る可能性がある。

昇給月の変更は、就業規則の変更だけでなく、これらのメリット、デメリットを必ず説明して社員に納得してもらい、同意を得ることが重要です。

(3)賞与を12等分して月の給与に割り振った事例

厚生年金保険の等級の上限額(月額60万5千円)以上の高額な給与を受けている場合、これ以上保険料が上がることはありません。そこで、年間の賞与を12等分して月給に割り振るという方法を取っている会社があります。

■賞与の見直し例

賞与の見直し例

(4)高年齢者を活用した事例

現在の60歳以上の高齢者は、活力がありまだまだ現役でやれる方もたくさんいます。そこで求人の一部を、高齢者に切り替えた会社があります。すでに企業の求める能力を持っており、即戦力となっています。
高年齢者を活用した事例

(5)休職制度を定めてトラブルを解消した事例

休職制度は、会社に在籍した状態で一定期間働く義務を免除される恩恵的な制度ですが、休職の期間や休職する理由、保険料を徴収するルールが明記されていないケースがあります。休職期間中であっても休職前と同じ社会保険料(健康保険+厚生年金)が発生します。  就業規則のある会社において制度を見直し、労働契約書に休職制度を記載した会社があります。規定が曖昧なためにトラブルにつながっていましたが、現在は解消されています。
休職制度を定めてトラブルを解消した事例 休職制度の見直し、制定はポイント以下の通りです。

①休職理由と期間を明確化(近年は精神疾患も増えているので含める)
②復職後、再度同じ病気での休職は期間を通算させる
③社会保険料の徴収ルールを決める
④休職期間中に復職できなければ退職とする一文を追加(解雇ではない)

(6)報酬月額の緩和要件を活用した事例

社会保険料は4月から6月の給料の平均を基に、その年の9月から決定される決まりとなっています。仮に、3月まで総支給26万円の社員が4月から残業が増えて、4月から6月までの平均が27万円となった場合、社会保険料の等級が上がることになります。月あたり総額で約2,000円、会社負担が1,000円上がり、年間で12,000円の会社負担増となります。この会社は、年度初めの3ヶ月間に業務が集中する傾向がありました。そこで、平成24年度から社会保険料の基礎となる報酬月額の計算に緩和要件があることを知り、活用しています。

①前年の7月から当年6月までの12ヶ月平均を出す
②当年4月から6月までの月給の平均を出す
 → 両方を比較して少ない方で保険料を計算することができる

ただし、この方法を取るには、①と②との間を比較して2等級以上の差がある必要があります。2等級以上の差とは、金額で3万円から4万円となります。この緩和要件については、会社全体ではなく、部署ごとで問題ありませんが、社員の同意書が必要となります。
毎年4月から6月に業務が増え、年間トータルで見ると社会保険料を多く支払っている会社は、この緩和要件の導入がお勧めです。

参考文献

『社会保険料適正化講座』保険毎日新聞社 假屋 美香
『会社の社会保険料をリストラする方法』中央経済社 田中 章二

3-4 アイ・パートナーズ グループのワンストップサービス

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