お役立ち経営情報 2015年12月

監査担当者日記 〜会計事務所の営業活動③〜

会計事務所の日常とは? ※ フィクションであり、 実在する人物・団体とは一切関係ありません

■登場人物紹介
那須愛斗(監査部・34歳)
…顧客本位とは何かを模索し、畑違いの業種から転 職入社で3年目
高堂豪一(監査部・53歳)
…この道一筋30年のベテラン税理士。溢れ出る会 計センスと経験、度胸がウリ

前回までのあらすじ

顧問会計事務所の変更を考えるパーティー商事を訪れる愛斗と高堂。そこにあったのは現顧問会計事務所への不満を募らせ、将来への不安を重ねて憂う、会長とその息子である社長の姿だった。

未来会計への布石

『会計処理がどれだけタイムリーになろうと、昨日までの会計は所詮過去の域を出ない。より経営を助けるものとして未来会計があります』高堂が持ち出した突然の「未来会計」に困惑するように会長と社長は顔を見合わせた。
『聞いたことがありませんね。未来会計…ですか?』社長が首を傾げた。それでも、言い出した当の本人である高堂は大仰に頷くばかり。その姿を見て諦めた愛斗は後を継いで話し始めた。
『過去会計の産物として「決算書」があります。済んだことのとりまとめである決算書は、いわば過去の後始末でしかない。そういう見方もできます。もちろん、それはそれで過去から今を省みる、という大事な役割はあるのですけどね』
愛斗の言葉に社長が口を開いた。
『決算書は税務署への義務としてやむをえず作るもの。そんなイメージが強いですね』
愛斗は社長の言葉に頷くと話を続けた。
『そうですね。決算書は基本、税法というルールに沿って形作られます。だからその時点で、経営者が見たい・知りたい情報の形とは違ってしまっているわけです。そして何より、経営者は今日・明日の会社を思い描き日々を過ごしています。「ルールに縛られた過去」である決算書に関心が低いことは頷けます』
『だからこその未来会計』ダメを押した高堂に、社長は身を乗り出す。『未来会計とは何なのですか?』

画餅と化す計画

愛斗は少し迷ってから切り出した。『結論から言うと、未来会計のキモは3つです。ビジョン、計画、予実管理』
ずっと黙っていた会長が口を挟んだ。『計画なら立てたことはあったけどねぇ。作ったあとはろくろく目にもせずどこかへいってしまったよ』
愛斗は応じた。『良くあるお話です。ですが厳しいことを言わせていただけば、多くの経営者が自ら、計画を画に描いた餅にしています。その原因はビジョンの不足です。正確に言うと、ビジョンと計画とをリンクできていないということです。ビジョンの無い経営者がいるとは思いません。ですが、ビジョンをうまく表現できず、計画や日々の行動への落とし込みには不慣れな経営者が沢山います』
会長は依然冴えぬ表情で言葉を返した。『わかったような、わからないような話ですねぇ…』
愛斗は間を置かず続けた。『一朝一夕で済むお話ではありません。だから私たちはそこに具体的な手段を携えています。ビジョンを明瞭化し、計画への落とし込みを行う「将軍の日」。計画がビジョンに沿って進行しているかを検証していく「MAS監査」。いずれも、経営の場に私たちが同席をさせていただいて、お客様と一緒に未来会計の思考やしくみを定着化させるサービスです』

愛斗の話に、社長は少し残念そうに話し始めた。『事はそう簡単ではない、ということですね。とはいえ、やっていなかったことはわかったし、やるべきことのひとつが見えたように思います。どうしたらよいか、会長とじっくり考えてみますよ。今日は貴重なお話をありがとうございました』そう言うと、社長は人の好い笑顔を浮かべていた。

信念を持ち続けること

パーティー商事からの帰り道、愛斗は高堂にたずねた。
『未来会計のこと、わかってもらえたんでしょうか?』
『さあな。でまた、どうしてそんなことを聞くんだ?』少し驚いたように、今度は高堂がたずねた。『いえ、会長も社長も、よくはわからないという表情をされていたので…』
愛斗の力ない応えに、高堂は大きなため息をついた。
『愛斗。正しいことを伝えたいのなら』そう言うと急に立ち止まり愛斗の方を向いた。
『わかるように伝えていく。わかるまで伝えようとする。それが俺たちの使命なんじゃないのか?未来会計にしても、正しいことだと思っているんだろ?だったら、信念を持ち続けること、相手を思い続けることだな』何事もなかったかのように歩き出した高堂の背中が、愛斗の眼にはとても遠く映る。
「追いつくべき背中だ」心に決めて愛斗は歩き出した。     (おわり)


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